Saturday, May 2, 2015

3年生の授業「野外調査法」1日目

 地形地質担当の植木です.

 環境危機管理学科では,3年生に必修授業の「野外調査法」があります.
この授業では,地形地質,植生,水生生物,水の化学,気象などの専門の先生が一堂に案内して,さまざまな自然を野外で調査する基礎を学びます.

 一昨年は茨城県の筑波山周辺,昨年は千葉県の房総半島に行きましたが,今年は茨城県の水戸市から常陸大宮市周辺で,4月30日から5月1日の1泊2日で行いました.

 ちょうど終わったばかりのほやほやの情報をお届けします.詳しくはいずれ,各担当の先生からの報告を期待しましょう.

 4月30日 快晴 初夏のように暑い日

 7時に大学を出発しました.始発の電車で来た学生や,友達の下宿に泊まった学生もいます.遅刻・欠席すると自動的に留年になるので,学生も早起きに必死です.

地点1 大洗サンビーチの砂浜
 広々とした海水浴場で,現在の砂浜の地形や堆積物を観察しました

大洗の砂浜の全景.
海岸線に沿って,川砂が運搬されて,このような広い砂浜ができています.
砂浜の勾配はたった1度くらいです.

前浜という干潮位と満潮位の間の砂浜をねじり鎌で掘ってみました
打ち波と引き波でできた平行な砂の地層が観察できます.

地点2 大洗岬の礫浜
 ここは古くて固い岩石が露出しており,川の砂利(礫)がトラップされて,礫浜になっています.

白亜紀の基盤岩の間に礫浜ができています.
礫浜の勾配は10度くらいで,砂浜より急です.
それは礫が積み重なった時の安定な角度(安息角)が大きいからです.

礫の大きさ,形,礫浜の勾配など,野帳にメモしました.

地点3 下入野の露頭
 氷河時代の川の地層の上に,暖かい時代の海の地層が重なっています.それらが現在の川や海よりも高い所にあるのは,地面が隆起したからです.

川の地層を観察しました.海の礫よりも丸くなく,砂があいだにありません.
古いのでやや締まっていて,鉄分で赤くなっています.
この地層はたぶん14万年くらい前です.

露頭を登っていくと,川の地層の上にさらさらな海の砂があります
小濱先生はなにを考えているのか・・・

露頭の上から下を見ると,こんな感じです.
落ちないように,足元に注意しました.

露頭の上から遠くを見ると,川の後ろに平らな台地が広がっています.
この露頭と連続する,たぶん12万年前くらいの砂浜です.

地点4 涸沼のしじみ養殖 
 涸沼は海水と淡水が混じる湖です(汽水と言います).味噌汁の具になるしじみが有名ですが,最近あまりとれなくなってしまいました.そこで,しじみの稚貝を放流しています.

しじみの稚貝の養殖施設を見学しました.
湖水を循環させています.

数年間養殖したしじみ.
網焼きにできるくらい大きいものもあります.

熱弁をふるう雨谷さん.
お仕事中,どうもありがとうございました.

地点5 東前の露頭


 たぶん6万年前くらいの川の地層とそれをおおう約4.5万年前の火山灰層を観察しました.火山灰は,群馬県の赤城山から飛んできたもので,そのときここは干上がっていたことになります.それは,氷河時代に寒くなって,川が谷をどんどん削っていったからです.

宿舎でのまとめ
 御前山青少年旅行村に泊まりました.食事の前に,1日のまとめをしました.班に分かれて,今日見たことをポスターにまとめ,発表しました.

車座になって話し合いながら,マジックと模造紙でポスターを作ります.

みなの前で班ごとに発表します.ポスターを持つ者,野帳を見ながら話す者など,役割分担します.

みな真剣に聞いています.先生からの鋭い質問に,たじたじです.

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