Tuesday, May 19, 2015

日本菌学会第59回大会に参加しました

環境危機管理学科講師の糟谷大河(きのこ研究室)です。

5月15日から17日まで,沖縄県那覇市で開催されていた日本菌学会第59回大会に,当研究室から教員1名と学生2名が参加し,以下の発表を行いました。

小林一樹(千葉科学大,M1)・安藤裕萌(筑波大)・糟谷大河(千葉科学大)・柴原壽行(千葉科学大),関東地方のキシノウエトタテグモ群集におけるクモタケの感染率

大森茉耶(千葉科学大,B4)・後藤康彦(菌類懇話会)・桧垣正吾(東大)・保坂健太郎(国立科博)・糟谷大河(千葉科学大),茨城県および千葉県における野生きのこの放射性セシウム濃度の動向


糟谷大河(千葉科学大)・池田美紀(千葉科学大,昨年度卒業生
)・黒川悦子(富山県中央植物園)・橋屋誠(富山県中央植物園)・保坂健太郎(国立科博),本州中部山岳地域におけるヒメカバイロタケ属菌の多様性

大学院生の小林くんの発表ポスター。

学部4年の大森さんの発表ポスター。

日本菌学会は,きのこやカビなどの菌類に関する研究をしている人々で構成された学術団体で,当研究室では毎年,大会で研究発表等を行っています。開催期間中の那覇市は好天に恵まれ,連日30度を超える暑さとなり,大会会場も熱気に包まれました。大会の参加者は日本全国,さらには海外からも集まり,日ごろの研究成果やこれからの研究計画等について,多くの参加者の方々と意見交換する機会となりました。

ロシアのきのこマトリョーシカの展示。学会会場にはこのような一般向けの展示コーナーもあります。

学会会場では,ロシアのきのこマトリョーシカの展示や,日本珍菌賞の授賞式など,ユニークなイベントもあり,充実した大会参加となりました。

ツイッター上で,珍奇な菌類(きのこやカビ)を募集し,菌学会大会で紹介する「日本珍菌賞」のイベントもありました。
 

Tuesday, May 12, 2015

環境ゼミナール

2年生向けの環境ゼミナール(火曜3限)ではオムニバス形式でそれぞれの教員が実習を担当します。
今日は自分の担当ではなかったたため自分の居室で仕事をしていたところ、普段は静かな裏庭からにぎやかな声が聞こえてきました。
どうやら植木先生担当の簡易測量実習を行っていたようです。

裏庭で簡易測量の作業中


面白そうなので下に降りて測量作業を見学させてもらいました。
巻き尺と目盛付きアルミスタッフ、そしてハンドレベルという水準をとる器具で小さな高まり地形の断面をたくさん取り、最終的に等高線図を作成するとのことです。

数十センチほどの高まり地形の周囲で班ごとに測量

初歩的な測量ではありますが、初めてで不慣れな学生たちは班ごとに工程を工夫していました。
等高線図の完成図を見るのが楽しみです。


自分の担当のときは気温分布の等温線図などをやってみようかな。
(縫村)

Sunday, May 3, 2015

3年生の授業「野外調査法」2日目

 地形地質担当の植木です.「野外調査法」2日目の様子です.

 5月1日 またもや快晴 学生の?日頃の行動が良いためでしょう.

 7時に起床.学生さん,寝不足は大丈夫でしょうか?8時半に宿をバスで出発しました.

地点6 御前山
 御前山は標高200 m以下の小さな山です.
江戸時代に徳川幕府の留山になっていたおかげで,自然の植生が残っています.ここは年平均気温が13度くらいで,暖かい気候に適した常緑広葉樹とやや寒い地域に適した落葉広葉樹が混在しています.午前中は糟谷先生のワンマンショーです.

駐車場で糟谷先生がルートや植生の概要を説明しています.
学生は野帳にメモする姿がさまになってきました.

山道の途中で植生を観察します.ここでは,天然のスギと
ヒノキが混在して生えています(葉っぱの形で区別できます).

木が病気になると「こぶ」ができます.
こぶのすき間にナメクジや陸生の貝がいました.
1本の木だけでも,さまざまな生物の生態系を作っています.

川沿いに植えられたケヤキです.新録がきれいですね.
これほどまとまって生えているのは珍しいです.

地点7 百観音近くの緒川の河原
 午後前半は小濱先生の担当です.小さな川に生きている生物を観察し,水質の判定をしました.

生物採取に必要な道具(網や図鑑など)と使い方の説明を受けました.

超気合いが入っていた,胴長持参のわたなべくん.
川の中で網をふりました.

採取した水生昆虫,魚,両生類をプラスチックのケースに入れて
観察します.そして,図鑑を使って同定します.

地点8 道の駅かつらの対岸の那珂川の河原
 河原の石を使って,ストーンペインティングをしました.小学校での理科の中で,小学生に地学に興味をもってもらう一つの方法です.植木が担当しました.

自分でこれはと思った石を拾い,アクリル絵の具で絵を書きました
みな童心に帰っています.しかし,邪念がある大人はうまくできません.

全部の活動が終わり,河原で記念撮影です.
2日間が3,4日に感じました.
先生方は安全に終わって,ほっとしました.

 これから,野外観察の結果を班ごとにまとめて,発表会を行います.野外調査法の授業は大学に戻ってからも続きます.

Saturday, May 2, 2015

3年生の授業「野外調査法」1日目

 地形地質担当の植木です.

 環境危機管理学科では,3年生に必修授業の「野外調査法」があります.
この授業では,地形地質,植生,水生生物,水の化学,気象などの専門の先生が一堂に案内して,さまざまな自然を野外で調査する基礎を学びます.

 一昨年は茨城県の筑波山周辺,昨年は千葉県の房総半島に行きましたが,今年は茨城県の水戸市から常陸大宮市周辺で,4月30日から5月1日の1泊2日で行いました.

 ちょうど終わったばかりのほやほやの情報をお届けします.詳しくはいずれ,各担当の先生からの報告を期待しましょう.

 4月30日 快晴 初夏のように暑い日

 7時に大学を出発しました.始発の電車で来た学生や,友達の下宿に泊まった学生もいます.遅刻・欠席すると自動的に留年になるので,学生も早起きに必死です.

地点1 大洗サンビーチの砂浜
 広々とした海水浴場で,現在の砂浜の地形や堆積物を観察しました

大洗の砂浜の全景.
海岸線に沿って,川砂が運搬されて,このような広い砂浜ができています.
砂浜の勾配はたった1度くらいです.

前浜という干潮位と満潮位の間の砂浜をねじり鎌で掘ってみました
打ち波と引き波でできた平行な砂の地層が観察できます.

地点2 大洗岬の礫浜
 ここは古くて固い岩石が露出しており,川の砂利(礫)がトラップされて,礫浜になっています.

白亜紀の基盤岩の間に礫浜ができています.
礫浜の勾配は10度くらいで,砂浜より急です.
それは礫が積み重なった時の安定な角度(安息角)が大きいからです.

礫の大きさ,形,礫浜の勾配など,野帳にメモしました.

地点3 下入野の露頭
 氷河時代の川の地層の上に,暖かい時代の海の地層が重なっています.それらが現在の川や海よりも高い所にあるのは,地面が隆起したからです.

川の地層を観察しました.海の礫よりも丸くなく,砂があいだにありません.
古いのでやや締まっていて,鉄分で赤くなっています.
この地層はたぶん14万年くらい前です.

露頭を登っていくと,川の地層の上にさらさらな海の砂があります
小濱先生はなにを考えているのか・・・

露頭の上から下を見ると,こんな感じです.
落ちないように,足元に注意しました.

露頭の上から遠くを見ると,川の後ろに平らな台地が広がっています.
この露頭と連続する,たぶん12万年前くらいの砂浜です.

地点4 涸沼のしじみ養殖 
 涸沼は海水と淡水が混じる湖です(汽水と言います).味噌汁の具になるしじみが有名ですが,最近あまりとれなくなってしまいました.そこで,しじみの稚貝を放流しています.

しじみの稚貝の養殖施設を見学しました.
湖水を循環させています.

数年間養殖したしじみ.
網焼きにできるくらい大きいものもあります.

熱弁をふるう雨谷さん.
お仕事中,どうもありがとうございました.

地点5 東前の露頭


 たぶん6万年前くらいの川の地層とそれをおおう約4.5万年前の火山灰層を観察しました.火山灰は,群馬県の赤城山から飛んできたもので,そのときここは干上がっていたことになります.それは,氷河時代に寒くなって,川が谷をどんどん削っていったからです.

宿舎でのまとめ
 御前山青少年旅行村に泊まりました.食事の前に,1日のまとめをしました.班に分かれて,今日見たことをポスターにまとめ,発表しました.

車座になって話し合いながら,マジックと模造紙でポスターを作ります.

みなの前で班ごとに発表します.ポスターを持つ者,野帳を見ながら話す者など,役割分担します.

みな真剣に聞いています.先生からの鋭い質問に,たじたじです.

Friday, May 1, 2015

2年生の実習の様子(その2)

地形地質担当の植木です.

 2年生の実習「環境科学ゼミナール」では,今週は野外に出かけました.
天気が良く,風は強かったですが,暑いくらいでした.
この時期は,まだ草が茂っておらず,虫やヘビもいないので,
地層の観察には適しています.
理科のスケッチの練習.美術のスケッチと違うのに戸惑います.

大学の裏にある標高20mくらいの地層が見える崖
(露頭と言います)に向かいます.
女子もがんばって登っています.

やれやれ,到着しました.まずは,みなで記念撮影

露頭から見る大学の風景.普段と違って,新鮮な感じです

露頭に近づいて,ねじり鎌で表面をきれいにして,地層の観察をしています.
ここは,大昔(約10万年前)の砂浜の地層です.

地層の厚さをメジャーで測りながら,棒状の地層のメモ
(柱状図と言います)を作っています.
今回は,スケッチと地層の柱状図という,
地形地質のもっとも基礎的な活動をしました.
これでなフィールドワーク好きな学生が出てきてくれたら,
嬉しいです.